馬の豆知識は「逃げて身を守る動物」と考えるとつながる
牧場などで馬を見る機会はあっても、実際に乗ったり、間近で行動を観察したりする機会はそれほど多くありません。大きな体で静かに立つ姿からは、賢くて優しい印象を受けますが、耳や目、脚の作りを知ると、馬がとても繊細な動物であることも見えてきます。
なかでも意外なのが、馬は立ったまま眠れるという話です。単に器用だから立っているのではなく、危険を感じたときにすぐ逃げられる体の仕組みを持っています。広い視野、よく動く耳、短い睡眠も、すべて同じ生き方につながっています。
馬は戦うより先に逃げることで身を守ってきた
馬は草を食べる被食動物です。肉食動物のような鋭い牙や爪を武器にするのではなく、外敵を早く見つけ、素早くその場を離れることで生き延びてきました。
顔の横についた大きな目は広い範囲を見るため、左右に動く耳は離れた場所の音を捉えるために役立ちます。物音や足元の変化に敏感なのも、気まぐれというより危険を見落とさないための反応です。
人と長く暮らしてきた家畜であり、穏やかに見える馬にも、こうした本能は残っています。「臆病だから扱いにくい」と考えるより、「先に危険へ気づこうとしている」と見るほうが、馬の行動を理解しやすくなります。
犬や猫とは目の位置も眠り方も異なる
身近な犬や猫と比べると、馬の特徴がよくわかります。ただし、犬猫にも個体差があり、馬にも性格や経験による違いがあります。次の表は、あくまで体の作りと基本的な傾向を比べたものです。
| 比較項目 | 馬 | 犬・猫 |
|---|---|---|
| 目の位置 | 顔の横にあり、周囲を広く見渡しやすい | 馬より正面寄りで、前方の距離を捉えやすい |
| 危険を感じたとき | まず距離を取ろうとする傾向が強い | 逃げる、隠れる、威嚇するなど反応はさまざま |
| 眠り方 | 立ったまま浅く眠れ、深い眠りでは横になる | 基本的に伏せるか横になって眠る |
| 観察の手がかり | 耳、目、鼻、首、尾など体全体を見る | 耳、目、口元、尾、姿勢など体全体を見る |
馬の豆知識は、ばらばらに暗記する必要はありません。「危険を早く見つけて逃げる動物」という軸を持っておくと、耳・目・睡眠・走る力の話が自然につながります。
耳・目・鼻には、人に話したくなる能力が集まっている

馬の顔をよく見ると、耳は別々の方向を向き、鼻は大きく開き、目は人間よりかなり横についています。かわいらしいしぐさに見えるものにも、周囲の情報を集めたり、仲間とやり取りしたりする役割があります。
耳の向きから注意の先はわかるが、感情は全身で読む
馬の耳は左右別々に動かせるため、前方の音を聞きながら、片方だけを後ろへ向けることもできます。耳が向いている先を追うと、馬がどこへ注意を向けているのか見つけやすくなります。
ただし、「耳がこの向きなら必ずこの感情」と決めつけることはできません。たとえば後ろ向きの耳でも、後方の音や人へ注意を向けているだけの場合があります。耳を強く伏せ、鼻孔を広げ、首や体にも緊張が見られるなら、不快感や警戒が強い可能性があります。
| 耳の様子 | 考えられる状態 | 見るべき点 |
|---|---|---|
| 前へそろって向く | 前方へ強く注意を向けている | 興味なのか緊張なのか、首や目も見る |
| 左右が別方向を向く | 複数の方向の音を確認している | 体が硬くなっていないかを見る |
| 横へゆるく開く | 休息中や落ち着いた状態で見られる | 目や下唇にも力が抜けているかを見る |
| 頭に沿うほど強く伏せる | 不快、恐怖、威嚇などの可能性 | 近づかず、施設スタッフの判断に従う |
耳は便利な手がかりですが、耳だけで馬の気持ちを断定しないことが大切です。表情、首の高さ、体の緊張、尾の動きまで合わせて見ると、馬が出しているサインを読み違えにくくなります。
「ブルルル」という鼻の音は、必ずしも挨拶とは限らない
馬が鼻から息を出して「ブルルル」「フン」と鳴らすことがあります。こうした音にはいくつかの種類があり、鼻の通りを整えるための息、警戒したときの強い呼気、落ち着いた場面で聞かれる鼻鳴らしなど、意味は状況によって変わります。
研究では、鼻から息を出す「スノート」が、放牧中や採食中など馬にとって好ましい状況で多く聞かれたという結果もあります。ただし、一度鼻を鳴らしただけで「歓迎している」とは断定できません。耳や姿勢がゆったりしているか、その前後に何があったかも合わせて見る必要があります。
遠くの仲間を呼ぶような長い「ヒヒーン」、短い呼び声、鼻から勢いよく空気を出す音では役割が異なります。牧場で馬を見るときは、姿だけでなく音にも注意すると観察が面白くなります。
視野はほぼ一周分あるが、鼻先と真後ろには死角がある
馬の目は顔の左右についているため、頭を動かさなくても周囲のほとんどを見渡せます。視野はおよそ350度と紹介されることが多く、外敵を早く見つけるうえで有利な作りです。
一方で、鼻先のすぐ前や真後ろには見えにくい範囲があります。広く見えることと、どこでも鮮明に見えることは同じではありません。特に真後ろから突然近づかれると、相手を確認できないまま驚いてしまう可能性があります。
馬に接するとき「後ろへ回らない」といわれるのは、単なる作法ではなく目の位置に理由があります。牧場で近くから見学するときも、柵や施設の案内に従い、馬から見える位置にいることが基本です。
馬の世界は青と黄色がわかりやすく、赤と緑は区別しにくい
人間の多くは3種類の錐体細胞を使って色を見ますが、馬は2色型色覚です。青系と黄色系の違いは捉えやすい一方、赤と緑は人間と同じようには見分けられません。
色がまったく見えないわけではありませんが、人間が鮮やかだと感じる赤い物も、馬には別のくすんだ色合いに見えると考えられます。また、地面の明暗差、急な影、見慣れない模様などに戸惑い、足を止めることがあります。
乗馬中の馬が影や水たまりの前で止まっても、わざと逆らっているとは限りません。人間と見え方が違い、足元を安全と判断できず確認している可能性があります。
笑っているような顔は、匂いを詳しく調べるフレーメン反応
馬が首を伸ばし、上唇をめくり上げて歯を見せることがあります。笑顔のように見えるこのしぐさは、フレーメン反応と呼ばれるものです。
匂いに含まれる物質を、鼻腔につながる鋤鼻器へ送り、詳しく調べる行動だと考えられています。ほかの馬の尿やフェロモン、新しく出会った匂いなどを調べるときによく見られます。
人間から見るとユーモラスですが、馬は匂いの情報を真剣に確認しています。牧場でこの顔を見かけたら、「笑っている」ではなく「匂いを分析している」と話せる豆知識です。
全力で走っても口呼吸をせず、大きな鼻だけで空気を取り込む
馬は正常な状態では鼻で呼吸し、口から呼吸できません。軟口蓋と喉頭蓋の位置関係によって口から肺へ空気が通りにくい構造になっているためです。
速く走って大量の酸素が必要になると、鼻孔を大きく広げて空気を取り込みます。人間なら激しい運動中に口を開けて息をしますが、馬は最後まで鼻が空気の出入り口です。走っている馬の鼻が大きく膨らむのは、能力を発揮するために欠かせない動きなのです。
人の表情と声を組み合わせて受け取ることができる
馬に賢い印象を持つ人は多いでしょう。実際の研究でも、馬は人の顔だけ、声だけを見るのではなく、表情と声の調子を組み合わせて感情を捉えることが示されています。見知らぬ人の表情と声を使った実験でも、組み合わせが一致しないときに長く注目する反応が見られました。
これだけで人間の心をすべて理解しているとはいえませんが、長く人と暮らしてきた馬が、私たちの細かな変化を手がかりにしていることは確かです。穏やかで優しく見えるだけでなく、相手をよく観察している動物だとわかります。
蹄・毛色・食べ物・汗にも意外な仕組みがある
馬の足元や毛並みには、見ただけではわからない特徴が隠れています。一本の指で体を支える蹄、年齢とともに白くなる毛、泡立つ汗など、外見に表れやすい豆知識を見ていきましょう。
蹄は足先の塊ではなく、発達した「第3指」の先端にある
現在の馬は、基本的に1本の指で体を支えています。この指は人間の中指に相当する第3指で、その先端を硬い角質で包んでいるのが蹄です。
馬の祖先には複数の指がありましたが、進化の過程で中央の指が太く発達し、左右の指は縮小しました。蹄だけを「中指の爪」と表すと少し単純すぎますが、「馬は発達した中指1本を中心に立っている」と考えると、脚の見え方が大きく変わります。
人間の手足とは骨の比率が違うため、馬の脚の途中にある関節を、ひざや足首だと思うと位置関係を間違えやすくなります。細く長い脚の中に、指の骨が大きく伸びた構造が収まっています。
蹄鉄はすべての馬につくものではなく、暮らし方に合わせて選ばれる
蹄の裏につけるU字形の金属が蹄鉄です。硬い地面を長く歩く馬や競走馬などでは、蹄の摩耗を防いだり、滑りにくくしたり、脚への負担を調整したりする目的で使われます。
- 硬い地面や長時間の運動による蹄の摩耗を抑える
- 用途や路面に合わせて滑りやすさを調整する
- 蹄や歩き方の問題に応じて特殊な蹄鉄を使うことがある
- 蹄を削り、蹄鉄を調整する専門職を装蹄師と呼ぶ
馬なら必ず蹄鉄をつけるわけではなく、裸足で管理される馬もいます。蹄の状態、運動量、地面、健康状態などを見て判断されます。人間の靴に少し似ていますが、装蹄は歩き方や健康にも関わる専門的な仕事です。
また、西洋では蹄鉄を幸運のお守りとして飾る文化があります。実用品が縁起物になったところにも、人と馬との長い関わりが表れています。
白く見える馬でも、芦毛と白毛では生まれたときの色が違う
白い馬を見たら、まず注目したいのが「芦毛か白毛か」です。JRAで扱われるサラブレッドの毛色は8種類に分類され、白く見える毛色にも明確な違いがあります。
| 毛色 | 主な特徴 |
|---|---|
| 鹿毛(かげ) | 体は赤褐色系で、たてがみや四肢の下部は黒い |
| 栗毛(くりげ) | 黄褐色系で、たてがみや尾も黒くならない |
| 芦毛(あしげ) | もとの毛色に白い毛が混ざり、年齢とともに白さが増す |
| 白毛(しろげ) | 生まれたときから全身の大半が白く、皮膚にピンク色の部分がある |
白く見える芦毛でも、仔馬のころは黒や茶色に近い場合があります。反対に白毛は、生まれたときから大半が白い非常に珍しい毛色です。白毛はアルビノと同じではなく、目には色素があります。
競馬中継や牧場で白い馬を見たとき、「若いころから白かったのか」と考えてみるだけでも観察の楽しみが増えます。
馬がにんじんを好みやすいのは、甘みを感じるから
「馬といえばにんじん」という組み合わせは完全な作り話ではありません。馬は甘みのある食べ物を好む傾向があり、にんじんやリンゴを喜んで食べる馬もいます。
ただし、馬の主食は牧草や乾草などの繊維質です。にんじんや果物はおやつにあたり、与えすぎれば食事のバランスを崩します。馬によって健康状態や食事管理も違うため、牧場で持参した食べ物を勝手に与えるのは避け、エサやり体験の内容に従うのが安心です。
白く泡立つ汗は、ラテリンというタンパク質の働き
運動した馬の首や鞍の周りに、白い泡がついていることがあります。これは石けんや汚れではなく、馬の汗に多く含まれるラテリンというタンパク質が関係しています。
馬の毛は皮脂で水をはじきやすいため、そのままでは汗が毛の表面へ広がりにくくなります。ラテリンは水の表面張力を下げる界面活性作用を持ち、汗を毛へ行き渡らせて蒸発させるのを助けると考えられています。汗と空気が混ざり、鞍や手綱などでこすれる場所では泡が目立ちやすくなります。
泡だけを見て、直ちに「限界まで疲れている」と判断することはできません。ただし、大量の発汗や荒い呼吸など別の状態もあるため、健康判断は管理者や獣医師に任せる必要があります。
立ったまま眠れる理由を知ると、馬の生態がもっと面白くなる
馬の豆知識で特に人へ話しやすいのが睡眠です。立ったまま眠る姿は不思議ですが、眠り方を詳しく見ると、「ずっと立ったまま」「横になったら病気」といった誤解も解けます。
脚の「ステイ・アパラタス」で、筋肉を使い続けずに立っていられる
馬の脚には、腱や靱帯、関節が連動して体を支えるステイ・アパラタス(肢の支持機構)があります。この仕組みによって、筋肉へ大きな力を入れ続けなくても立位を保ち、立ったままうとうとできます。
外敵が近づいたとき、横になった状態から立ち上がるより、立ったまま休んでいるほうが早く逃げられます。立ち寝は、馬が被食動物として身につけた生存戦略のひとつです。
牧場で何度も馬を見ていても、立っている馬が眠っているのか、ただ静かにしているのかは、知らなければ見分けにくいものです。片方の後ろ脚を休ませ、首を低くして目を細めていたら、立ったまま休んでいる可能性があります。
深いレム睡眠をとるときは、馬も横になる
馬が立ったままとれるのは、主に徐波睡眠と呼ばれる段階です。筋肉の力が大きく抜けるレム睡眠を保つには、体を横たえる必要があります。
馬の睡眠は人間のように一度で長く続くのではなく、短い眠りを一日の中で繰り返します。カリフォルニア大学デービス校の解説では、合計の睡眠は一日約3時間で、レム睡眠はそのうち20~30分ほどです。
そのため、横になっている馬を見ても、それだけで具合が悪いとは限りません。周囲を安全だと感じ、深く眠っていることがあります。「馬は立ったまま眠る」と「馬も横になって眠る」は、どちらも正しいのです。
サラブレッドは時速60km前後で走ることがある
競走中のサラブレッドは、時速60km前後に達することがあります。走る距離、馬場の状態、レース展開によって速さは変わるため、すべての馬が常に同じ速度で走るわけではありません。
体重が450kgを超えることも珍しくない馬が、人の短距離走を大きく上回る速度で駆けるのは驚異的です。しかも、ただ一瞬速いだけでなく、レースではその速さを一定の距離にわたって保たなければなりません。細い脚と大きな体は、速く走るための構造と繊細さを同時に持っています。
寿命・体重・妊娠期間を数字で比べる
馬の基本的な数字をまとめると、体の大きさだけでなく成長の速さも見えてきます。
| 項目 | おおよその目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 寿命 | 25~30年ほど | 品種、飼育環境、健康状態で異なる |
| サラブレッドの体重 | 450~500kg前後 | 性別、年齢、体格、調整状態で変わる |
| 妊娠期間 | 平均約340日 | 315~365日ほどの幅がある |
| 健康な仔馬が立ち授乳するまで | 通常は生後2時間以内 | 立てない場合は早い対応が必要になる |
人間の赤ちゃんと大きく違うのが、仔馬の成長の早さです。健康な仔馬は、生まれてから短時間で立ち上がり、母馬の乳を飲み始めます。移動できなければ外敵から逃げられない動物にとって、生まれてすぐ脚を使えることは生存に直結します。
大きな体でも泳げ、水中運動はリハビリにも使われる
馬は水に入ると脚を動かして泳げます。体重が重いため沈みそうに見えますが、浮力を受けながら前へ進むことができます。
この能力を応用したものが、水中トレッドミルやプールを使う水中運動です。浮力によって脚へかかる荷重を抑えつつ運動できるため、競走馬や乗用馬の調整、けがからの回復過程などで用いられます。
ただし、泳ぎは心肺や筋肉へ負荷がかかり、馬によって水への慣れ方も違います。馬が泳げるという知識と、どこでも安全に泳がせられるという話は別です。設備と専門家の管理があってこそ利用できるトレーニングです。
種類と毛色がわかると、牧場や競馬場で見る場所が増える

馬は品種や用途によって、体格も得意なことも大きく異なります。牧場で見かける小柄な馬、競馬場を走る細身の馬、馬車を引くがっしりした馬を同じ基準で見ないことが、種類を知る第一歩です。
軽種・重種・ポニー・日本在来馬は、体格と役割が異なる
| 分類 | 体格の傾向 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| 軽種 | 細身で脚が長い | サラブレッドなど。速く走る能力に優れ、競馬や乗馬で活躍する |
| 重種 | 大型で骨格と筋肉が太い | ペルシュロンなど。農耕、荷役、馬車など力を生かす仕事で使われてきた |
| ポニー | 小型 | 特定の品種名ではなく、小柄な馬の総称として使われる |
| 日本在来馬 | 小型から中型 | 木曽馬、御崎馬、対州馬など、日本の環境に適応してきた8馬種が現存する |
ポニーと呼ぶ高さの基準は団体や競技によって異なります。国際馬術連盟では、競技上の基準として、原則として蹄鉄なしで体高148cmを超えない馬をポニーとしています。「ポニー」という一つの品種があるわけではない点も、よくある誤解です。
小さい馬がすべて仔馬とは限らない
ミニチュアホースは、成長しても非常に小柄なままの馬です。小さな姿を見ると仔馬だと思いがちですが、体が完成した成馬の場合もあります。
仔馬か成馬かを大きさだけで判断することはできません。体つき、たてがみ、顔つきなども手がかりになりますが、品種を知らずに外見だけで断定するのは難しいところです。牧場に品種や年齢の案内があれば、見比べてみると違いがよくわかります。
牧場では耳・毛色・体格・眠り方の4点を見る
馬の豆知識は、実物を見たときに使ってこそ印象に残ります。牧場や動物園、競馬場では次の4点が観察しやすいでしょう。
- 耳:左右がどの方向を向き、何へ注意しているか
- 毛色:鹿毛、栗毛、芦毛、白毛のどれに近いか
- 体格:細身の軽種、小柄なポニー、がっしりした重種のどれに近いか
- 眠り方:立ったまま休んでいるか、安心して横になっているか
牧場で馬を見る機会が多くても、注目点を決めずに眺めていると、個体ごとの違いには気づきにくいものです。耳の向きや毛色を一つ確認するだけで、同じ馬が以前より表情豊かに見えてきます。
優しい馬にも驚く力があるため、接するときは距離を守る
馬は穏やかで、人と協力できる動物です。しかし、どれほどおとなしい馬でも体重は数百kgあり、突然驚くことがあります。安全面は怖がりすぎる必要も、軽く考える必要もありません。
噛む・蹴る行動には恐怖や不快感が隠れていることがある
馬が噛んだり後ろ脚で蹴ったりするのは、生まれつき凶暴だからとは限りません。恐怖、痛み、不快感、縄張りや食べ物を守る反応、学習した行動など、理由はさまざまです。
「優しい動物だから何をしても大丈夫」と考えるのも、「蹴ることがあるから怖い動物」と決めつけるのも、どちらも馬の一面しか見ていません。馬が人に慣れているか、今どんな状態かを、その場を管理している人が判断することが重要です。
真後ろを避け、施設スタッフの案内を優先する
- 柵の中へ勝手に入らず、触れてよい馬か確認する
- 真後ろや鼻先の死角から突然近づかない
- 大声を出したり、走って近寄ったりしない
- 耳を強く伏せるなど緊張が見えたら距離を取る
- 食べ物は持ち込まず、エサやりの方法に従う
初心者が耳の向きだけで安全を判断するのは難しいため、最終的には施設のルールとスタッフの指示が基準です。馬を驚かせないことは、人だけでなく馬を守ることにもつながります。
最後に覚えたい、会話に使いやすい馬の豆知識
たくさんの情報を一度に覚えなくても、立ち寝、鼻呼吸、蹄の3つだけでも十分に会話のきっかけになります。最後に、特に使いやすい内容と、少し変わった疑問をまとめます。
まずはこの5つを覚えると馬を見る目が変わる
- 馬は脚の支持機構を使い、立ったまま浅く眠れる
- 深いレム睡眠をとるときは横になる
- ほぼ一周を見渡せるが、鼻先と真後ろに死角がある
- 正常な状態では口呼吸をせず、鼻だけで呼吸する
- 蹄は、発達した第3指の先端を硬い角質が包んだもの
この5つには、すべて「周囲の危険に気づき、すぐ動ける体」という共通点があります。豆知識を関連づけて覚えると、人へ話すときも理由まで説明しやすくなります。
馬にまつわる疑問をFAQで確認
Q. 馬に乗って公道を通れるの?
道路交通法では、牛馬は軽車両の定義に含まれます。馬に乗って公道を通ること自体に自動車の運転免許は必要ありませんが、信号や左側通行など道路交通法上のルールが適用されます。どこでも自由に走れるという意味ではなく、道路標識、地域の規制、安全確保にも従う必要があります。
Q. 「野次馬」には、なぜ馬の字が入るの?
有力な説の一つは、年老いた馬を意味する「親父馬(おやじうま)」が縮まって「やじ馬」になったというものです。役に立たず騒ぐ馬という意味を経て、関係のない騒ぎを見物する人を指すようになったと説明されています。ただし語源には別の説もあるため、確定した由来としてではなく「こうした説がある」と覚えるのが正確です。
Q. 横になっている馬は病気なの?
横になって深く眠ることがあるため、それだけで病気とは判断できません。ただし、長時間起き上がれない、苦しそうに何度も寝起きするなど、普段と違う様子がある場合は別です。飼育している馬なら、早めに管理者や獣医師へ相談する必要があります。
豆知識を知ると、穏やかな姿の中にある能力が見えてくる
立ったまま休める脚、ほぼ全周を見渡す目、方向を探る耳、口を使わず空気を取り込む鼻、一本の指を中心にできた蹄。馬の体には、速く走るだけではない意外な能力が詰まっています。
牧場で見る馬は、静かで優しそうに見えます。同時に、周囲の変化へ敏感に反応し、人の表情や声も手がかりにする賢い動物です。次に馬を見る機会があれば、まず耳の向きと立ち方に注目してみてください。眠っているのか、音を探しているのかを考えるだけでも、馬の姿がこれまでとは違って見えてきます。
はじめての電子書籍を出版しました!

川村ひよりです。
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東京23区で暮らすタヌキ、ハクビシン、アライグマ、アナグマ、ネズミ。身近にいるのに意外と知らない5種の生態や、都会で生き抜くための工夫、人間との関わりについてまとめています。
動物の記事を楽しんでくださった方には、きっと興味を持っていただける内容だと思います。よろしければ、ぜひ読んでみてください!

